水木しげるといえば、すぐに妖怪を連想するかもしれない。最近じゃ、NHKドラマでもやっていたしね。そんな彼の新しい本が、最近、本屋さんで平積みきされている。帯には「水木しげるがついに妖怪から神の世界へ突入!」などと書いてある。ボクなんか「ええー、そうかあ?」と首を傾げてしまうんだけど。妖怪と神さまは紙一重だと思う。水木しげるが神さまの世界に足を踏み入れたという感覚は、ない。
だって、恐ろしい神さまなんか、もはや妖怪の類いだと思うし、奉られている妖怪なんかはたくさんいて、こういうのは神さまだと思う。
たとえば、トウビョウという憑き物がいる。ヘビの憑き物だ。憑き物系の妖怪は大抵がそうだけど、うまく飼い馴らしている間はいいけれど、飼い損なうと飼い主に牙を剥く。壷の中に入れて、床下にこっそりと隠し、食事を与えて大切に育てる。そうすると飼い主の意図を汲んで、邪魔な人間にとり憑いて呪い殺す。しかし、飼い主の家系は常にトウビョウを祀り、大切にしなければならない。こういうのは典型的な妖怪だと思う。でも、トウビョウの恐ろしさを封じている神社があって、今でもトウビョウを祀っている。こうなると立派な神さまだ。座敷童子なんかも、家を繁栄に導くけど、離れてしまうと没落するので、家の中で祀っていたりする。そうなると、妖怪と神さまの中間に位置する感じがする。
そんなわけで、水木しげるが神さまの世界にー!などと謳われても、「う~ん」な感じがして、すごく違和感があるように思うのよねー。
PR